再会



夢の中で彼女と再会した。

最後にあった姿そのままに、元気一杯で。

他愛の無い話

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ひとしきり話しを終えると、別れを告げる。

「ばいばーい」小さく手を振る

私も答える。精一杯のさよなら。さよなら。



目が覚めると声を出して、泣いているのに気付く。

隣に居る背中を借りて気持ちを沈める。

こんな事で家族を起こしたくなどなかった。

雨は降り続き、窓からノイズを響かせて。

夜明け前、一番闇の深い頃。

健やかな寝息の聞こえる寝室で。



彼女は私を非難する事無く。

振り返らなかった月日を責める事無く。

不義理の限りの私を受け入れてくれた様に。



あの約束の日はやって来なかった。

ただ、あなたの妹がそれを告げに。

最後の別れの日、行かなかった私を誰も責めずに。

共に三十路の鳥羽口に立つ事も無しに。

いつまでも、あの時のままでいる。

それが悲しい。



今年こそ彼女の好きな花を選んで、

行かねばならないと思う。

最後の姿が懐かしい

私の幼子をあやしながら、

その言葉は胸の奥に今も生きて。



「あたし、結婚したらちえちゃんみたいなお母さんになりたいなあ。」



強くなければならない。

良き母でなくてはならない。

誰よりも。

何よりも。